読んだ
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どっちもおもしかった。
この発表がマスコミで大きく報じられることはほとんどなかったが、厚労省内
では「一大転機」と断言してもいいほどの変化だった。
〔……〕
この人事には、周囲を納得させる「仕掛け」を用意していた。
医政局長だった医系技官の外口に、「保険局長」のポストを用意したことだ。
保険局長というのは、年金局長とならんで、厚労省の事務官の中核をなす
役職だ。格からして並み居る局長の中でトップと言ってよく、この上は、
事務次官しかない。
外口は非常にできる男だが、ただ単に医政局長を事務官に明け渡したとなれば、
歴代の医系技官OBの先輩たちから何を言われるかわからない。歴史に汚点を
残した、と思い詰めてもおかしくないのだ。それが官僚の心情だ。
ところが、保険局長にクラスが上がったことで、今後も医系技官が保険局長
に就くことができる、という目が出てきた。これなら外口のプライドを
傷つけることはないし、先輩たちに申し開きもできる。(pp.155-156)