声に出して読みたい日本語

……使徒行伝について、本格的に本を一冊書くのは、私にとってこれが最初で最後でしょうから、
 やや分量が多くなりましたが、言いたいことは十分に書いておこうと思い、
 内容的な問題にも多く踏み込みました。
 そういう次第で、単なる訳註の範囲をだいぶ超えてしまいました。お許し下さい。

 使徒行伝については、一部の聖書学者が 「これがドイツで確立している学問です」とかいうふれこみで、
 本当はドイツの一部のプロテスタントパウロ主義神学者の屈折した護教論にすぎないのですが、
 そういうものを金科玉条のようにふりまわす人たちがおいでになるので、
 その論理、認識のあまりにひどい屁理屈ぶりに、私はひどく憤っております。
 それでこの際、その種のうさんくさい説をとことんまで叩いておこう、
 そういった奇妙な説から、我々の著者ルカを救い出し、
 この著者が伝えようとした最初期のキリスト教の歴史を、
 できる限り正確に読者の皆さんの手に届けたい、と願った次第です。

 学問的水準という意味では (著作について重要なのは必ずしも学問的水準だけではありませんが)、
 私がこれまで書いたすべての著作の中で、この巻が最も水準が高い、と言えると思います。
 その分だけ、お読みになり易い文章になっているだろう、と自分では期待しております。
 多分、使徒行伝については私もずい分と年期が入っているせいもありますけれども、
 やはり、この 『訳と註』 の仕事をすることによって、自分の実力が急速に成長していった、
 ということが主たる原因だろうと思います。
  乞う、御期待。



「田川健三からのお知らせ」
http://www6.ocn.ne.jp/~tagawakn/#kyouno-hitokoto

東京に行ったとき紀伊国屋書店ふらふらしてて
激しく興味を引かれた。


田川先生の新訳か・・・と。


http://www.tssplaza.co.jp/sakuhinsha/book/jinbun/tanpin/21387.htm


そういや10年くらい前に岩波が新訳のシリーズ出してたけど、あれって完結したんだったか…?